『アフリカ「発見」』

藤田みどり『アフリカ「発見」』(岩波書店、2005)

(1)戦国時代から現代に至る、日本とブラック・アフリカの交流と、日本におけるブラック・アフリカのイメージの歴史をたどる。「アフリカ」という、まさにこの本でいわれているように「空白」と「暗黒」のイメージが先行しがちな対象をとりあげているだけでも、もう全面的に許す。もちろん、博士論文の縮約版ということもあって、資料的な裏付けも十分。

(2)それにしても、この本が収められている岩波書店の世界歴史選書シリーズは、本当にはずれが少ない。最近岩波書店の歴史関係の本にはどうもなかなか食指が伸びないが、これは良いコレクションだと思う。

(3)興味深いエピソードが目白おしだが、なかでも目を引いたのは明治時代の小説『佳人之奇遇』(東海散士)。日本とブラック・アフリカの諸民族とが連帯して欧米に対抗するという荒唐無稽なストーリーだが、ナショナリズムインターナショナリズムが独特なかたちで結合していた明治という時代の雰囲気をよく表している。宮崎滔天『三十三年の夢』(岩波文庫、1993)の読後感を思い出した。それにしても、ブラック・アフリカって結構近かったんだ……。