『マルク・ブロックを読む』

二宮宏之『マルク・ブロックを読む』(岩波書店、2005)
いただきもの(礼状を出しわすれていた……)。
おすすめ。

(1)アナール学派やフランス社会史学の祖として名高い歴史家の生涯と業績を、過去30年間にわたって日本の歴史学を牽引してきた歴史家が語りつくす書。話題は、ブロックの業績の評価から、フランスの歴史学の動向、日本の歴史学の回顧と展望、さらには歴史学の方法にまで広がってゆく。まこと読む人が読むと違うものだ……と感じざるをえない。

(2)歴史学がブロックから学ぶべきことは、この本によれば、

  • 比較と遡行の接合
  • 問題史
  • 構造と変動の接合
  • 長期持続と事件の接合

など、数多い。まだまだなすべきこと、なしうることは山積していると痛感する。

(3)ブロックを論じた他の書と比較して、この本の独自性は、ブロックが「アルザス」出身の「ユダヤ人」だったことが彼の生涯と業績に与えた影響を検討している点にある。ただし、とくに業績に対する影響については、検討があまりうまくいっているとは思えないのが、残念といえばちょっと残念。