『スウェーデンの高齢者福祉』

ペール・ブルーメー他『スウェーデンの高齢者福祉』(石原俊時訳、新評論、2005、原著1994)
いただきもの。

(1)題名どおりスウェーデンの高齢者福祉の過去、現在、未来を論じる書。人口のトレンドに着目し、歴史をふりかえると、高齢者人口の比率が大きくなるときに高齢者福祉システムは変革を余儀なくされることを明らかにする。人口史的な視角から高齢者福祉の問題を考えるというアプローチは、いわれてみれば当然だという気もするが、なかなか斬新。

(2)そのうえで、この本は、第二次世界大戦直後に生まれたベビーブーマーが高齢化しつつある今日、高齢者福祉システムは、これまでの「高齢者集団のニーズを公共セクターが充たす」ものから「高齢者個人個人のニーズを私的セクターが充たす」ものに変化せざるをえないと主張する。ということは、つまり、著者たちは(高齢者福祉を含めて)福祉サービスは市場化・商品化せざるをえないし、またそうなるべきだと考えているのだろうか。そうだとすると、それは、これまでの「福祉国家」システムの否定なのだろうか、それともこれまでの「福祉国家」システムをなんらかのかたちで止揚したものなのだろうか。そのへんがわかりにくくてちょっと残念。

(3)長大な訳者解題が付いており、便利。