『チョムスキー入門』

ジョン・マーハ『チョムスキー入門』(芦村京訳、明石書店、2004、原著1996)
おすすめ。

(1)アメリカ合衆国政府に対する激烈な批判者として知られる言語学チョムスキーの所説・思想の入門書。彼の政治的スタンスの背景を知りたくて読む(ウソ)。著者がチョムスキーとおこなったインタビューの記録を中心に、著書からの引用、写真、イラストレーション、さらにはふきだしがごった煮状態で、チープな感じがいかにも入門書にふさわしい。こんな面白い本が出版されていたとは、われながら不勉強を恥じる。

(2)それにしても、この本には

心-脳のどこかが特に言語に割り当てられているとする。視角のための部分があるのと同様に、言語機能も存在するんだ(20ページ)

とか

人間の言語はこのような認知システムの一つであり、特有の特質や原理をもつ人間の心-脳のハッキリした構成要素なんだ(43ページ)

とか

全ての言語は基本的に同一である……。子供はそれほど多くの判断材料をもっていなくても、同じように習得するのだから、これは、当然のはずだね。人間の形、あるいは人間の心臓血管系は同一であるのと同じ理由から、言語も同一でなければならない。それぞれ人により異なるけれど、等質性のほうが圧倒的なんだ……。あらゆる言語は遺伝子の発現であると仮定しなければならない。そしてあらゆる言語は、一方では、他の言語の使用者から理解されるときの容易さは様々だが、お互いにかなり類似している。しかし一方では、規則のシステムがそれぞれ異なっているので、非常に多様で複雑にも見えるんだ(111-2ページ)

とかいったチョムスキーの刺激的な発言がてんこもりで、まったくもってわくわくさせられる。