『歩きながら考える』

鶴見良行『歩きながら考える』(太田出版、2005)

(1)ナマコやバナナやエビといったモノからアジアと日本の関係を読み解くという独自な仕事で知られたフィールドワーカーの対談集。対談相手は網野義彦や大林太良といった豪華なラインナップ。モノから始める、海から見る、現場を歩く、国境をこえる、といった、興味深い視点が提示されていて、興味深い。多分。

(2)「多分」とかいたのは、この本の最初のほうで感情移入することに失敗し、距離を感じながら読みおえた違和感を表現したかったからだ。つまり冒頭の1972年の対談で、鶴見は

ぼくはほとんど英語一本ヤリで、英語で会話できる人にしか会えない(10ページ)

と述べている。その後も「英語一本ヤリ」だったか否かはこの本からは定かでないが、アジアを「歩きながら考える」のに英語だけで足りるものか? この疑問が念頭を離れず、以後どのページを読んでも「でも英語だけだしなあ」と思ってしまった私は偏屈者です。