『認知科学への招待』

大津由紀雄・波多野誼余夫編『認知科学への招待』(研究社、2004)

(1)日本歴史学界の年に一度の大イベント(本当か?)『史学雑誌』「回顧と展望」(114-5、2005)の「歴史理論」欄で、十分に理解してもいないくせに、無責任にも大略「認知考古学はすごそうだぞ」と書き、一部の顰蹙を買ったので、その責任をとり、日本における認知科学界のスターを総動員して編まれた認知科学の入門書を読む。したがってひたすらお勉強読書だったが、ぼくにとってのポイントは次の2つ。

(2)生成文法理論の位置付け。認知科学的アプローチをとる言語学には生成文法理論と認知言語学があるが、前者は

言語普遍性は遺伝によって規定された(その意味で、生得的な)言語機能に由来するものと考え、生物学的な意義づけをした…。そして、近年では、進展著しい、高次脳機能に関する研究と相まって、言語の脳科学の地平を切開き始めている(79-80ページ)

らしい。ほーら「すごそう」じゃないか。

(3)語用論の展開。語用論とは

発話として使用された言語表現の意味と両立可能な解釈は多数存在するにもかかわらず、なぜ、聞き手は話し手の意図した意味をいとも容易に把握できるのであろうか(91ページ)

という問題を考える学問領域を指す。そして、そこで支配的な所説となりつつある関連性理論は

発話解釈なるものを、心的表示に対してなされる推論的計算がかかわる認知的な事柄と見なす…。語用論能力はコンテクスト情報に依拠して働く…。コミュニケーション能力は…人間の心を構築する言語能力モジュールとは以下の理由で独立のものである…。コミュニケーション能力を言語能力の延長線上で考えるわけにはいかない…。両者は深いレベルで相互作用するのである(95、99ページ)

と主張している。ほーら、これまた「すごそう」じゃないか。