『アーヴィング・フィッシャーの経済学』

中路敬『アーヴィング・フィッシャーの経済学』(日本経済評論社、2002)

(1)19〜20世紀にかけての転換期のアメリカを代表する経済学者の業績に関する研究書。フィッシャーといえば交換方程式、フィッシャー方程式、貨幣数量説、最近ではデット・デフレーション理論など、色々な業績が単発的におもいうかぶが、それらを相互に関連させつつ、フィッシャーの経済思想の全体像をえがきだそうとする。

(2)内容を理解したとはとてもいえないが、ここでえがきだされるフィッシャーの研究姿勢に惹かれる。つまり

  • 一般均衡モデルを閉じるには「特定の財を価値標準にする」という仮定を導入する必要がある
  • したがって「貨幣とは何か」という問題を考えなければならない

とか

  • 一般均衡モデルは生産と消費が同時決定されるが、生産には時間がかかる
  • したがって「時間とは何か」という問題を考えなければならない

というように、

  • モデルを構築する
  • モデルの「裂け目」を確認する
  • それをカバーするべく、新たな理論を構築する

という姿勢である。これって誠実な姿勢だ。