『「資本」論』

稲葉振一郎『「資本」論』(筑摩書房ちくま新書、2005)
いただきもの。

(1)厨先生こと稲葉振一郎くん、またしても新刊。今度は『自由論』に対抗して『資本論』だとか(うそ)。おおまかにいうと

  • 所有、市場、資本という、経済を理解するうえでの基本概念について、過去の思想家の所説をたどりながら、丁寧に説明する
  • そのうえで、労働者を人的資本の所有者として扱い、人的資本という財はフラジリティが高いがゆえにちゃんとセーテフィネットを張るべきことを説く

というつくり。さすがかつて「レトリックだけ」((c)中西洋)と評された博覧強記だけあり、今回も色々と教えられた。

(2)ただし、人的資本のフラジリティの説明がちょっと簡単すぎないか? 多分

という理屈にもとづいているんだと思うが、一番最後の「不確実性や情報の非対称性は、弱者に不利である(or不利にみえる)」ことの理由が「破産の可能性」だけというのは、本当にそれで足りるのか? いただきものだから、わがままはいわんが。