『「学級」の歴史学』

柳治男『「学級」の歴史学』(講談社講談社選書メチエ、2005)
おすすめ。

(1)学部演習で内藤朝雄『いじめの社会理論』(柏書房、2001)を読んでいる(経済学部のくせに!!)のだが、そのなかでゼミ生から「学級制度は問題をはらんでいるようだが、この制度はどのようにして成立したのか」という疑問が出た。そういえば新聞の書評で学級制度の成立について論じている本がをみたぞ、というわけで、あわてて探して一読。ところが、地味なタイトルに似合わず、ものすごく面白くて、驚愕。

(2)この本によれば、学級制度は、19世紀のイギリスにおいて、教育の大衆化に対応するべく教育システムを合理化しなければならないという社会的要請に対応しうるものとして誕生した。それゆえ、それはフーコーの言う「規律訓練型権力」に親和的な制度だった。ところが、19世紀末に日本に導入されるや、この制度は当時の日本の社会構造に規定され、共同体的な性格を強めてゆく。そして、この性格に対応して、フーコーの言う「牧人司祭型権力」がビルトインされてゆく。2つの「見えない権力」が合体したのだから、もう怖いものはない。学級制度にもとづく日本の教育システムはいまや無敵(?)になり、監視される子どもたちのストレスは極大化してゆく…。ヴェーバー・支配の社会学、経営組織論、そしてフーコー・権力論を用いて、学級制度の成立と展開と特色と問題点を論じるというのは、結構オリジナルな枠組みだと思う。論の運びも、ところどころでちょっと強引かなという感じを与えるものの、スリリングでよろしい。

(3)ついでにいえば、この本が問題にしている点は、単に「学級」にとどまらず「学校」そのものにもあてはまるだろう。なにも「学級」に問題を限定する必要はないと思うのだが…。