『日本のスタートアップ企業』

米倉誠一郎編『日本のスタートアップ企業』(有斐閣、2005)

(1)日本における、いわゆる「ベンチャー企業」(英語で「スタートアップ企業」)を対象とする、ビジネススクールにおけるケーススタディ授業の教材として用いられるべきケースブック。とりあげられているのは、ソニーからスクウェアまで、全11社。「圧縮陳列」という店舗設計で(良い意味でも悪い意味でも)知られるディスカウントストア「ドンキホーテ」は、それに対応した人事制度を設計したとか、吉野家は人材を全て本部で育成しているとか、ところどころで面白い記述がある。

(2)ぼくがケースブックの性質をよくわかっていないせいだろうが、11ケース全部読んで、ちょっと混乱。間接金融で成功した場合と直接金融で成長した場合、アウトソーシングでうまくいった場合と中央丸抱えが力になった場合など、色々ありすぎるもので。で、成功の秘訣は何だ?

(3)各章には、ケーススタディ授業で利用することを想定して、問題が付いている。ところが、模範解答がない…というのはケースブックのつくりに忠実だからで、通常ケースブックでは模範解答は、授業進行についてのアドバイスなどとともに、教員専用の「ティーチング・ノート」として別冊になっているものらしい。
ところがところが、この本のティーチング・ノートは、授業でテクストブックとして採用することを決めた教員にだけ配布する、とのこと。でも、普通は、ティーチング・ノートの出来を見てから採否を決定しないか? 来年度のゼミで利用しようか…などと考えていたのだが、こんな応対をされてしまってはなあ。