『王妃の離婚』

佐藤賢一『王妃の離婚』(集英社集英社文庫、2002、初版1999)

(1)大阪日帰り出張の帰りの車内のおとも(ビール3缶と一緒)。東北大学大学院文学研究科西洋史学専攻出身というバリバリのキャリアを持ち、激しく面白い歴史小説を書きまくってきた直木賞作家の手になる一冊。ちなみに、行きの車内のおともはダーウィン種の起原』(八杉龍一訳、岩波書店岩波文庫、1990、原著1859)上巻。うーむ、変な組合せではある。

(2)佐藤さんの小説の面白さは、あぜんとするほど該博な知識とともにヨーロッパ中世という「異文化」を語りつつ、その根底にジャパニーズな浪花節的なノリがあるという、ハイブリッドさにある。ただし、この「浪花節的なノリ」は、人物描写などでは抜群の冴えをみせるものの、ところどころで垣間見せる人生訓話的な地の文ではハズシまくっている―そうぼくは感じる。意図的にハズシてるんだとは思うが、もしも意図的にハズシているという自覚が失われたら、そのとき、そこには第2の塩野七生、第3の司馬遼太郎が登場することであろう(根拠なし)。