『ナポリのマラドーナ』

北村暁夫『ナポリマラドーナ』(山川書店・ヒストリア、2005)
おすすめ。

(1)大阪経済法科大学「市民アカデミア」(at同大東京ブランチ)という公開講座でしゃべる。お題は「生存権保障政策システムの展開―19世紀フランス」。久しぶりにフランス史について考え、語る機会を得て、楽しかった。ついでに、はじめて丸善丸の内本店に寄ってみたところ、この本発見。イタリア近現代史研究「期待の星」、「ほとんどアフリカ」といわれているイタリア南部で艱難辛苦のフィールドワークを積み重ね、最近はイタリア移民を追ってアルゼンチンにまで足をのばしてしまった行動派歴史学者・北村さんのデビュー作。待ってました(待たされました)。

(2)マラドーナの活躍で記憶される1980年イタリア・ワールドカップ。その準決勝、イタリア対アルゼンチン戦を前にしたイタリア・マスコミの不思議な論調を切り口に、イタリアにおける地域間格差の問題を縦横無尽に論じる。

(3)イタリアにおける地域間格差問題たる「南北問題」はいかに形成され、変遷してきたか、南北問題はいかにイメージされ、そのイメージがいかに人々の心性を規定したか、さらには、アルゼンチンをはじめとする移民の出入りという現象が地域間格差の認識枠組みをいかに変容させてきたか・いかに変容させうるか、といった重要な諸問題を、四百字250枚程度のなかでコンパクトに論じていて、驚愕。ただし、歴史の本なのにこのタイトル、ちょっとすべってませんか、北村さん(もしかして重度のサッカーファンだとか)。