『文明論之概略』

福澤諭吉文明論之概略』(岩波書店岩波文庫、1995、初版1875)

(1)大塚久雄文庫の手稿史料を写真撮影する許可が下りたので、福島大学図書館に(のんびりと各駅停車で)往復した際の、旅のおとも。それにしても、ピンボケしていないか否かをパソコンで確認しつつデジカメで600枚撮影するというのは、思ったよりも疲れる作業であった…。

(2)いわずとしれた福澤の主著。明治維新直後という時代にあって、血統なんかどうでもいいいじゃんと放言するわ、道徳よりも知識のほうが大切に決まっていると断定するわ、ヨーロッパ文明の真髄を

人間の交際に於てその説一様ならず、諸説互に並立して互に和することなきの一事にあり。…各々その赴く所に赴き、各々その主張する所を主張し、互に争うといえども、互によくこれを制するを得ず。一も勝つ者なく一も敗する者なし。勝敗久しく決せずして互に相対すれば、たとい不平なりといえども、共に同時に存在せざるを得ず。既に同時に存在するを得れば、たとい敵対する者といえども、互にその情実を知て、互にその為す所を許せざるを得ず。我に全勝の勢を得ずして、他の所為を許すの場合に至れば、各々自家の説を張て文明の一局を働き、遂には合して一と為るべし。これ即ち自主自由の生ずる由縁なり(191-2頁)

にみいだすわ、ただただクールである。