『資本主義対資本主義』

ミシェル・アルベール『資本主義対資本主義』(小池はるひ訳、竹内書店新社、1996、原著1991)

(1)そのシンポジウムにおける報告の準備のための読書。著者アルベールは、いかにもフランスらしいキャリア(グランゼコール、経済高級官僚、経営者)を持った道徳政治科学アカデミーの会員。この本では資本主義あるいは市場経済システムを

  • フランスなど国家主導型:公企業の優越
  • アメリカなどアングロサクソン型:短期収益、株主、個人の成功が優先される
  • ドイツや日本などライン型:長期的な配慮、資本と労働を結びつける社会共同体としての企業の優先

に分け、ライン型の優位を説く。

(2)1990年代前半に刊行された際にはそれなりの話題になった本であるが、ドイツや日本の経済パフォーマンスが低下した21世紀の今日からみると、まさに「前世紀の遺物」視されるかもしれない(ぼくは、個人的には、いまでもライン型びいきだが)。それでも、アングロサクソン型とライン型の対抗を「金融と産業の対抗」という視野から捉えるというのは、なかなか示唆的だといえるだろう。やっぱりケインズとか再読せなならんのだろうか…。