『世界をゆるがした十日間』

ジョン・リード『世界をゆるがした十日間』(小笠原豊樹他訳、筑摩書房ちくま文庫、1992、原著1919)

(1)いまさらいうまでもなく、ロシア革命を描いたルポルタージュの古典。先週初めになんということもなく久しぶりに手に取ったのだが、土曜日に開かれた国立民族学博物館地域研究企画交流センター連携研究「地域研究における叙述」なる長〜い名称の研究プロジェクトのセミナー(at東北大学川内北キャンパス)で話題になって驚く。この研究会は、故・鶴見良行の流れをひく文化人類学者が中心となってたちあげ、社会言語学や文学の領域から人が集まって出来上がった。ちなみに、なぜぼくが末席…といっても、諸般の事情によりメンバーではないのだが…を汚しているのか、自分でもよくわからない。で、今回はアメリカ左翼文学の専門家である村山淳彦さんをゲストとしてお迎えしたのであるが、じつは彼は新日本出版社版『十日間』の訳者であり、かててくわえてリードの営みを一つの中心とする報告をなさったのだった。あれま。

(2)報告を聞きつつ、

  • 20世紀初めのアメリカでは客観的叙述をこととするジャーナリズムが主流だったなかで、なぜリードは「わたし」を前面におしだした記述スタイルを創出できたのか
  • このスタイルはその後アメリカ左翼文学のなかで広まってゆくのだが、それを可能にしたものはなにか
  • こういった問題は、今後歴史研究がとるべき叙述戦略を考えるうえで、考えてみる価値があるのではないか

といった問題について考える。ちなみに酒席で村山さんに質問し、お答えいただいたような記憶もあるのだが…飲みすぎて忘れてしまったわたしが悪いんです。