『経済史』

岡崎哲二『経済史』(新世社、2005)
おすすめ。

(1)現在の日本における経済史学をリードする経済史学者の手になる経済史学の入門書・教科書。「経済の歴史」をだらだらと描くそんじょそこらの入門書・教科書と異なり、

  • 経済史を学ぶ意義はなにか
  • 分析ツールとして、いかなる経済理論を、いかに利用するべきか

といったポイントを論じる。そのうえで市場経済一般の発展を追いかけ、さらに生産組織(労働市場、土地市場)と貨幣市場の歴史を論じる。ちなみに岡崎さんが分析ツールとして用いるのは、基本的に新古典派経済理論。この理論にもとづく入門書・教科書がようやく登場したことは、算数がわからないぼくとしても、大変意義深いものがある。

(2)ちなみに、この本が描く新古典派経済理論を用いる経済史学の歴史を要約すると、

  • すべては経済成長論(ソロー新古典派モデル)の利用から始まった
  • しかし、これだけでは「なぜ技術革新や資本蓄積がなされたか」がわからない
  • そこで登場したのが、経済組織による費用削減を重視する新制度学派経済理論(コース、ノース、ウィリアムソン)である
  • しかし、これだけでは「なぜ人々は自発的に組織のルールを守るか」がわからない
  • そこで登場したのが、ゲーム理論にもとづく比較制度歴史分析(グライフ)である

といった感じになるだろうか。

(3)来年度の大学院の講義でテクストとして利用しようか…一番勉強しなければならないのはぼくだろうが。