『エコロジストのための経済学』

小島寛之『エコロジストのための経済学』(東洋経済新報社、2006)
おすすめ。

(1)経済学の一味違う、でも正統で、かつわかりやすい啓蒙書を書かせたら本邦一の経済学者の手になる、環境経済学の入門書。環境と経済の関係を理解するうえで役に立つ経済理論である不完全競争の経済学、ケインズ派経済学、新制度学派経済学、ゲーム理論、社会的共通資本論などをわかりやすく解説したうえで、それらにもとづくと環境問題はどのように分析できるかをさししめす。そのうえで、小島さん独自の環境問題観(ポイントは貨幣だ!!)を提示する。小島さんの本らしく、例によってなかなかお得な一冊である。

(2)コモンズ問題と不完全競争理論は表裏一体であるとか、目からウロコの指摘が山ほど含まれている…と感じるのはぼくが経済学の素人だからだろうか。

(3)ケインズ派経済学に対する手厳しい批判(消費性向の安定性がアプリオリに前提されている、枠組みが動学的でない)が含まれているが、これについては色々と議論があるだろう。