『さよならダーウィニズム』

池田清彦『さよならダーウィニズム』(講談社講談社選書メチエ、1997)

(1)なぜか進化生物学を勉強した冬学期の学部ゼミも、先日無事に終了。最後回にゼミの学生がディヴィド・ムーア『遺伝子神話の崩壊』(徳間書店、2005)を紹介してくれたのだが、それがあんじょう(どんなふうに? 肯定的に? 否定的に?)面白かったので、訳者である池田さんの本を読んでみた。ネオダーウィン主義を批判し、独自な理論たる「構造主義進化論」を唱える書である。

(2)出だしのネオダーウィン主義批判でつまずく。たとえば

アリと共生するような擬態は、擬態といっても、一気に擬態しなければならず、徐々にというわけにはいかないのだ。遺伝子が偶然変化して、少しずつ擬態するというわけにはいかない。したがってこういう化学擬態は、どう考えても自然選択でできたとは思われない(14-5頁)

と書いてあるが、「徐々に」とか「少しずつ」のスケールがわからないと、なんとも…。

(3)あるいはまた、北上するものとしないものがいる蝶・ウラナミシジミについて、北上するものは死んでしまって「北上個体は遺伝子は残らないのに、なぜいつまでたっても淘汰されないのか」(18頁)という疑問から「生物は徐々に適応的になっていくということは正しくないかもしれない」という結論を導出するが、制約条件がどうなっているかがわからないと、なんとも…。

(4)ほかにも色々あるが、自分の無知をさらけだすだけになりそうなので、以下省略。