L'oeuvre d'Ernest Labrousse

Novella Borghetti, M., L'oeuvre d'Ernest Labrousse (Paris : Editions de l'EHESS, 2005)

(1)雑誌『アナール』に拠った社会史家たち「アナール派」については、周知のように、いくつかの世代に分けることができるといわれている。日本で知られている代表的な人物としては、第1世代はマルク・ブロックやリュシアン・フェーヴル、第2世代がフェルナン・ブローデル、第3世代がアンドレ・ビュルギエールやジャック・ルヴェル、という感じだろうか。

(2)このうち第2世代を代表する歴史家としては、もうひとり、エルヌスト・ラブルースがいる。もっとも、大部の主著『地中海』すらが邦訳されているブローデルと異なり、ラブルースの名は日本では(フランス近代史の専門家を除いて)さほど知られていない。というよりも、日本に限らず、フランス国外ではさほど知られていない、というべきだろう。フランス史学史を顧みると、これはとても不思議なことだ。今をときめくアラン・コルバンもモーリス・アギュロンも、み〜んなラブルースの弟子だったのだから。これは一体なぜだろうか。ラブルースはなにをしたのだろうか。

(3)この本で、ノヴェラ・ボルゲティは、こんな不思議な巨匠ラブルースの業績の全貌を明らかにし、評価しようとする。ラブルースを取り扱った本は、これが初めてじゃないだろうか。そして、彼はそもそも経済学の専門家として出発し、歴史学界にとっては基本的に「外様」であったことをつきとめる。うーむ、一応「フランス近代史の専門家」であるはずのぼくにとっても、この本の内容は知らないことだらけだった。