『近現代ヨーロッパ史』

木村靖二・近藤和彦『近現代ヨーロッパ史』(日本放送出版協会、2006)
いただきもの。
おすすめ。

(1)放送大学大学院のテクストブックで、表題の通り近現代ヨーロッパ史の通史。「通史」かつ「テクストブック」でなければならないという記述・構成上の制約はあるが、それにもかかわらず(あるいは、それだけに)色々と示唆的な記述にぶつかる。

(2)読みどころは、まず第1章「長い19世紀と短い20世紀」。歴史研究にとって「時代区分」という作業が決定的な重要性を持っていることをときあかして、明晰。ちなみに、この章を読んでいると、かつて近藤和彦編『西洋世界の歴史』(山川出版社、1999)の執筆に参加したときのことを思い出す。『西洋世界の歴史』は2年間にわたる研究会を経て出来上がったが、研究会では、近藤さんを始め、木村さん、「マリリン」櫻井万里子さん、江川温さん、油井大三郎さん、そして深沢克己さんという、当代一流の歴史学者の話を聞くという、本当に贅沢な時間を過ごすことができた。そして、その際に最大の争点のひとつになったのが、この時代区分だった。

(3)もうひとつ、第7章「西洋事情と明治日本」も、史学史と近現代ヨーロッパ史と日本史をたくみにおりまぜた記述が展開されていて、読ませる。そう、歴史学もまた一種「同時代」の営みなのだ。