『現代ヨーロッパの社会経済政策』

廣田功編『現代ヨーロッパの社会経済政策』(日本経済評論社、2006)

(1)20世紀ヨーロッパ社会経済にかんする論文集。収録されている論文のあいだにテーマ上の連関はないが、この手の論文集にしては珍しく興味深い論文が多いことに驚く(ということは、そうでもない論文もいくつかあるということでもあるが…)。

(2)興味深い論文の例として、伊藤カンナ「戦後イタリア経済の基盤構築」は、イタリアにおける産業復興公社の歴史をたどり、それがつい最近まで市場メカニズムと国家介入の幸福な結合のうえに成り立っており、そしてその背景には最適な経済および金融パフォーマンス政策を実現しうる政策システムの模索があったことを明らかにしている。

(3)あるいはまた、廣田功「ヨーロッパ統合構想の展開とフランス経済学者」を読むと、さまざまなヨーロッパ経済統合思想は、諸生産要素の流動性の程度についてどう考えていたのだろうか、という疑問がわいてくる。廣田先生の仕事は、どれもそうだが、読み手の知的好奇心を喚起して本当に見事なんだよなぁ、これが。