『絶対音感』

最相葉月絶対音感』(新潮社・新潮文庫、2006、初版1998)

(1)いわずと知れたベストセラー・ノンフィクション、二度目の文庫化。

(2)テーマがシャープだとか、文章があまり練れていないとか、こまごまとした感想は色々あるが、読んでいて一番考えさせられたのは、「先天的に付与されている属性」とでも呼ぶべきものの範囲はいかに確定できるか、という問題だった。ぼくらが住んでいる近代社会は、「機会の平等」というルールのもと、メンバー各自がこの「先天的に付与されている属性」を使いながらゲームに参加する空間、と定義できる。しかし、こういった本を読んでいると、「先天的に付与されている属性」と「後天的に獲得しうる属性」の境界はきわめて曖昧なものであることが(あらためて)わかる。そのことに対応して、ゲームのルールは再設定されるべきか。再設定されるべきだとすれば、いかに再設定されるべきか・・・そんなことをつらつら考える。