『共和主義の法理論』

大森秀臣『共和主義の法理論』(勁草書房、2006)
いただきもの(徳田さん、サンクス)。
おすすめ。

……おかしい。たしかフィールドワークに基づく本を準備しているはずなのに、なぜトレルチを読んでるのか。なぜトレルチの次にはガーダマーが控えてるのか。うーむ、おかしい(冒頭に戻る)……っと、それは措いておき。

(1)リベラリズム共同体主義、共和主義といった政治思想を検討しつつ「法の公共的正統性」の根拠をさぐるこの本を読む。分析のおもな対象は、『政治的リベラリズム』のロールズ、サンデル(共同体主義)、マイケルマン(共和主義)、そして『事実性と妥当性』のハーバーマス(共和主義)と、大物ばかりである。

(2)大森さんによれば、リベラリズムの核心は公的領域と私的領域の分離にある。しかし、これでは、法の公共的正統性は根拠付けられない。これに対して、共同体論は「徳性を陶冶する」というかたちで公的領域を私的領域に介入させ、それによって両者をつなぐべきことを説く。しかし、これでは公的領域は手の届かないところに置かれてしまい、やはり法の公共的正統性は根拠付けられない……かくして、大森さんは共和主義に至りつく。共和主義は「審議によって参加する」というかたちで私的領域を公的領域に介入させ、それによって両者をつなぐことによって、法の公共的公共性を根拠付けられうる、というわけだ。こんな3政治思想の整理は、見事の一言。

(3)ただし、審議による参加を志向する個人はいかに生まれるか、という問題が残るように感じる。「審議によって参加する」という営みは「徳性を陶冶する」という営みによって補完される必要性があるのではないか。