『コモンズをささえるしくみ』

宮内泰介編『コモンズをささえるしくみ』(新曜社、2006)
いただきもの(赤嶺さん、サンクス)。
おすすめ。

(1)「総有」あるいは「オープン・アクセス」という所有形態をとり、一部で《新しい市民社会》を支える基盤として期待されている「コモンズ」。しかし、コモンズには

  • 所有や使用の権利をもっているのは、具体的にはだれか
  • 所有や使用の権利の正当性・正統性はどこから来るか

といった難しい問題がつきまとう。こういった根源的な問題を「環境」というコモンズに即して考える論文集。論文を寄せているのはおもに若手の環境社会学者たちであるが、「コモンズ」を魔法の呪文にしてはならないということがよくわかる快著。

(2)たとえば赤嶺淳「当事者はだれか?」は、環境保全というスローガンのもとに捕獲や流通が規制されつつあるナマコについて、それが「コモンズ」なのはよいとして、ナマコの捕獲・流通で生活している人々の暮らしはどうなるのか、とといかける。ここで提示されている

  • コモンズはいかに管理されるべきか
  • 管理する「当事者」はだれか

といった問は、実践的にも理論的にも重い。

(3)あるいはまた、「コモンズ」の正当性・正統性はしばしば「歴史」に求められるが、しかし歴史はつくられるものだ。本書の圧巻をなす菅豊「〈歴史〉をつくる人びと」は、石川県にあるラムサール条約登録湿地・片野鴨池について、その存在の重要性を担保している池の歴史がいかに創造され、改変されてきたかをたどる。