『セクシュアリティと法』

斉藤豊治・青井秀夫編『セクシュアリティと法』(東北大学出版会、2006)
いただきもの(斉藤さん、サンクス)。

(1)東北大学21世紀COE「ジェンダー法・政策研究センター」研究叢書の1冊。《ジェンダーと法》あるいは《ジェンダー法》に関する論文が収録されている。法学者の書くものは、なぜか難しい。

(2)この本の白眉は、日本における売春業の《経営形態》認識と、その背景にある《売春》認識の変遷をたどる若尾典子「女性の自己決定権」だろうか。若尾さんによれば、1900年大審院判決は、売春業は「自営業」であると定めたが、その背景には、売春業は雇用契約になじまないという認識があったのだそうだ。うーむ、ただひたすら驚く。

(3)もうひとつ、辻村みよ子さんの

第二波フェミニズムが第一波フェミニズム批判の観点から国家権力の分析を避けたとしても、ジェンダーと国家権力との関係についての理論分析を欠いた状態で、家族の保護や女性の家父長家族からの脱出・社会参画をめざしてきたようにみえる。さらにそのための安易な国家権力の発動要請によって、国家権力からの自由という観点を自ら捨て去ったということができよう。リベラリズムないしリベラル・フェミニズムに立脚すればこのことは当然に批判の対象となるが、ラディカル・フェミニズム等についても、陥穽を見いだすことができないだろうか(39頁)

という指摘は、重い。