『民主主義の逆説』

シャンタル・ムフ『民主主義の逆説』(葛西弘隆訳、以文社、2006、原著2000)

(1)ポスト近代主義の立場から「闘技的民主主義」の構築を唱える書。おおまかにいうと

  • ポスト近代主義によれば、自律的な主体なんてものは存在しない
  • したがって、主体間の合意なんてものは存在しない
  • したがって、合意を目指すハーバーマス的な「討議民主主義」は存在不可能である
  • したがって、民主主義とは「討議」ではなく「闘技」である

という感じだろうか。しかし「闘技」を志向する主体はどこに存在するのだろうか……かくしてぼくらはふたたび主体探しの旅に出ざるをえなくなるだろう。

(2)それにしても、もしかして「討議」と「闘技」は掛詞なんだろうか…そうだとしたら、じつにナイスな訳業である。