『現代フランスを読む』

三浦信孝『現代フランスを読む』(大修館書店、2002)

(1)当代随一のフランス・ウォッチャーの手になるエッセイ集。1990年代のフランス社会の特徴と変貌の背景を探るなかで、フランス型の国民統合原理である「共和国原理」とアメリカ型の「多文化主義」の長短を比較し、さらには両者を止揚するものとして「クレオール主義」に至る。

(2)論理と論旨は明晰だし、現代フランス社会に関する見立ても正確だし、インフォマティヴにして示唆的な一冊。ただし、同じテーマを扱った同工異曲の短文(エッセー)が続くのは、いかがなものか。それだけ三浦さんの問題関心が切迫したものだったんだろうとは思うが、率直にいって読みにくいことは否めない。