Islam and the Moral Economy

Charles Tripp, Islam and the Moral Economy (Cambridge : Cambridge University Press, 2006)

(1)SOASの中東政治担当講師が、19世紀末以来の資本主義の挑戦に対してイスラム知識人がどう対応したかを論じる書。週末の出張の車内でだらだら読みはじめたのだが、これがなかなか面白く、昨日の午後もしごとをサボって読みふけってしまった。

(2)著者のトリップさんによれば、イスラム知識人は資本主義に対応するべく、欧米の思想を利用したり、それに反発したりしながら、さまざまな思想を紡いできた。前者の例としては

  • 19世紀末欧米における社会学の発展はイスラム知識人にダイレクトな影響を与え、所有、経済、あるいは社会に対する認識のあり方をおおきく変化させた
  • ケインズの経済理論も導入され、論じられた

といった事実があるそうで……いやあ、不勉強で全然知らなかった。イスラム知識人もけっこう柔軟だったわけだ。

(3)さらにまた、この本によれば、資本主義の影響力はきわめて大きかったため、それに反発・対抗する場合、どうしても議論はイデオロギーやシンボルといった抽象的な次元でなされざるをえない。こういうスタンスが原理主義に行きつくのは、いわば当然の理なのだろう。