『所有と国家のゆくえ』

稲葉振一郎立岩真也『所有と国家のゆくえ』(日本放送出版協会NHKブックス、2006)

(1)所有、国家、市場といった根本的なテーマについて、2人の論客が語りたおした対談集。さまざまにオリジナルなor斬新なテーマやアイディアがちりばめられ、しかし、それらが論理の最後まで展開されていないため、ものすごく刺激的だがよーわからんという読後感が残る。これはつまり、読者の能力が問われる本ということなんだろう……が、当然ながら、ぼくは失格である。

(2)個人的には、「基準的な他者」としての「子ども」や「次世代」を論じているところに興味を惹かれた(198-205頁)。話はまったくずれ、ほとんどこじつけになるが、ロザンヴァロン『連帯の新たなる哲学』によれば、保険(つまり社会連帯)原理の存在理由はリスクに対処することにあるが、近年リスクは縮減する傾向にある。しかし、自分自身の「子ども」あるいは「次世代」の、なんと表現すればよいのか、いわば《出来》は、どうころんでも縮減しきれないリスクではないだろうか。まあ大金持ちだったらそうでもないのかもしれないが、そもそもうちの娘の夏休みの宿題の出来というか進み具合(過去形……仙台の小学校は今週初めからすでに授業が始まっている)といったら、大体において、まったくもって……しかし、教授会の最中にそんなことを考えながら内職読書してていいのか、きみは?