『アメリカ型不安社会でいいのか』

橘木俊詔『アメリカ型不安社会でいいのか』(朝日新聞社・朝日選書、2006)

(1)10月に始まる学部講義の中間レポートの教材を探していたが、なかなかみつからない。分配、再生産、価値、生存といったテーマに関わり、学部レベルで、刺激的で、しかも高くない本、ということだと、個人的にはいまでも橘木俊詔『日本の経済格差』がベストだと思うのだが、なにせ岩波新書なので本屋が(受講者数が事前に確定しない授業の課題図書は見込み発注することになるが、岩波書店は原則として返品がきかないので)いやがる。岩波も商売っ気がないものよ……というわけで、やむなく、新刊なので入手しやすく、岩波じゃないので本屋もいやがらないこの本を指定することに決める。

(2)日本社会はアメリカ型社会よりもヨーロッパ型社会の方向に向かうべきことを説き、税方式の基礎年金制度や、公的な青少年職業訓練制度を導入するべきことを説く一冊。こんな本に対しては、《大きな政府》とか《パターナリズム》とかいった批判が来ることが、容易に予想される。でも、なーに、要するに制度はプラットフォームなんだから、そう決きまったらそうなるんだって……って、あのー、なにが言いたいんでしょうか、わたし?