Pierre Bourdieu et la theorie du monde social

Louis Pinto, Pierre Bourdieu et la theorie du monde social (Paris : Seuil, collection Points, 2002, first ed., 1998)

(1)いわずと知れた社会学ピエール・ブルデューの業績を、社会学者にして哲学者が解説する一冊。安室奈美恵のコンサート会場で開演までの待ち時間に読んでいたら、浮いた、ような気がする……が、まあそれはどうでもよい。新書版のコンパクトな造作ながら、

  • ブルデューの所説は、主観主義対客観主義という哲学の二大潮流の止揚を目指して構築された
  • その際に採られた「ハビトゥス」という着眼点は、いわば「行動」に照準を合わせ、その点でオリジナルかつ有効だった
  • ブルデューは最晩年に政治に関与してゆくが、それは彼の所説の当然の帰結だった

といったポイントを、きれいに明らかにしてゆく。

(2)それにしても、日本では、ブルデューの所説は、その部分部分があまりにも魅力的であるために、全体との関わりなしに、断片的に応用されてしまっているのではないだろうか。たとえば有名な「文化資本」論は、教育社会学歴史学の分野で、有効な分析枠組みとして利用されているし、実際ぼくも利用してきたわけだが、その背景にどんな理論があるか、十分に考えられてきたのだろうか。少なくともぼくは考えたことがなかった……反省、反省。

(3)ついでに……ブルデューの翻訳の多くは藤原書店から出ていて、訳業も優れているし、表紙も美しいのだが、惜しむらくは、とにかく重い!! これじゃ、ねっころがって読めないし、ポケットにつっこめない。本書みたいに新書版というのはムリだとしても、軽いペーパーバックにしてほしい。実践する社会学者の本なんだから。