『組織の経済学入門』

菊澤研宗『組織の経済学入門』(有斐閣、2006)
おすすめ。

(1)経営学に照準する経済学帝国主義の尖兵とも呼ぶべき「組織の経済学」の入門書。その主な構成要素をなす取引費用理論、エージェンシー理論、そして所有権理論を、じつにわかりやすくロジカルに解説して、すっきり。

(2)この本では、組織の経済学のおおもとは、サイモンが提唱した《限定合理性》概念に求められている。つまり、新古典派経済学における《完全合理性》という仮定をゆるめると、企業をはじめとする制度について色々なことが議論できるようになる、というわけだ。な〜るほど、シャープな整理である。ただし、情報の非対称性も、不完全情報も、あるいは将来を予測できないという不確実性も《限定合理性》という概念でくくってしまうと、ちょっとカバレッジが広くなりすぎるような気もする。