The Political Economy of Virtue

John Sholvin, The Political Economy of Virtue (Ithaca : Cornel University Press, 2006)

(1)せっかく風邪が抜けてきたような気がしないでもないと思っていたら、今度は首を寝違えたのが(どういうわけか)悪化し、言葉通り「首が回らない」毎日。仕事が進まないことはなはだしい。そんななかで読んだのは、18世紀フランスの経済学・経済政策関連書籍を博捜し、経済学的な思考様式がフランスにいかに浸透していったかをたどった一冊。40頁にわたって続く巻末の参考文献リストが圧巻。

(2)かつて、18世紀フランス経済学史は、古典派経済学の先駆者としての重農主義から古典派経済学の輸入へと続く、つまりは「富」を重視する思想たる経済学がユニラテラルに広まってゆくストーリーとして描かれていた。しかし、この本の著者ショルヴィンは、イギリス経済学史学界で人口に膾炙してきた《徳と富》という分析枠組をフランス経済学史に適用し、「パトリオティスム」と「奢侈」をキーワードに、両者のあるべきバランスこそがフランスでも求められていたことを明らかにする。

(3)この本がいいたいことは、それはそれとしてよくわかる。しかし、だ。そもそもこの《徳と富》という分析枠組は、経済学史そのもののなかにどう位置づけられるのだろうか。いまだによくわからない。ついでに、よくらからないといえば、この分析枠組みのもとになっている「シビックヒューマニズム」もわからないし、その提唱者たるジョン・ポーコックのいいたいこともわからない。正確に言えば、いいたいことはわかるのだが、それが経済学史なり政治思想なりのなかにどう位置づけられうるのかが、いまいち不明……なのは、もちろんぼくの勉強不足のせいなのだが。