『マルサスと同時代人たち』

出雲雅志他『マルサスと同時代人たち』(日本経済評論社、2006)
いただきもの(出雲さん、河合さん、サンクス)。

(1)マルサスの周辺にいた、いわは「忘れられた経済学者」たちの思想・理論・生涯・業績を分析するモノグラフ集。専門的な論文ばかりなので、基本的な知識がない素人(つまり、ぼく)には、ちょいとむずかしいかもしれない。

(2)それでも、たとえば出雲雅志「ジェイン・マーセットと経済学の大衆化」は、すぐれた経済学テクストブック『経済学対話』を執筆したアマチュアにして女性の経済学者マーセットの生涯を論じて、いろいろと示唆的だ。出雲さんによれば、マーセットの教科書が人口に膾炙したのは「経済学が共有する思考の枠組みをつかみだした」(70頁)からだった。たしかに、経済学史を教えていて感じるのは、まさにこの「経済学が共有する思考の枠組み」が得られるか否かが理解度をおおきく左右するということだ。それが体得できれば、あとは、目からウロコが落ちるように、さまざまな理論・所説の骨格が(かなりの程度)頭に入ってゆくはずである。それでは、ぼくらは「経済学が共有する思考の枠組み」を伝達しえているか。伝達するには、どんな授業科目・フレームワーク・アプローチ・授業法が有効あるいは必要か……かくして、自己反省をはらみつつ、想いは広がってゆくのだった。この本の本題とはまったく違う方向に、ではあるが。