『犯罪不安社会』

浜井浩一芹沢一也『犯罪不安社会』(光文社・光文社新書、2006)
おすすめ。

(1)次作『ぼくらはなぜ選挙に行かなきゃいけないんですか?(仮題)』の出版について打合わせるべく東京出張。編集者さんたちから、大略(というよりも、かなり当方に都合良く脚色すると)「いやあ、いくら書いてもいいですよ!!、わっはっは、もっとアカデミックでいいですよ!!、わっはっは」という、今日の出版状況からは想像できないほど太っ腹な好条件をお聞きし、すっかり舞上がった小田中であった。

(2)ゼミ生がひとり「ゲーティド・コミュニティ」で卒論を書いているところなので、関連書として、帰りの東北新幹線のなかで『犯罪不安社会』を一気に読む。恣意的な統計処理にもとづく治安悪化論がつくりだされ、ひろまっているという問題については、すでに何冊かの本を読んで知っていたが、問題はこの言説を受容する側の心性だろう。この本では、治安悪化論が、いったん構築されるや否や「正のフィードバック」あるいは「自己実現的予言」とでも呼ぶべきメカニズムにもとづいて自己増殖してゆくプロセスが、さまざまな角度から論証されている。ちなみに、芹沢さんたちによれば、このメカニズムの根幹には「子供の安全」に対する強迫観念がある。小学校一年の娘がいるぼくにとっては、まさに他人事ではないのだが、さて。