『新自由主義と戦後資本主義』

権上康男編『新自由主義と戦後資本主義』(日本経済評論社、2006)
いただきもの(著者の皆さま、サンクス)。
おすすめ。

(1)腰痛(ねちがえたか?)と胃痛(確実に飲みすぎ)をかかえつつNHK衛星第2チャンネルのキャンディーズ特集番組に見入ってしまったのは、これはやはり、1978年の解散コンサート(後楽園球場)にまで行ってしまった元ファンの心理のなせるわざであろう…などとつまらないことを考えつつ、今日の世界を席巻しているネオリベ新自由主義)の歴史的源流をたどるこの本を読む。

(2)なんといっても本書総論にあたる第1章「新自由主義の誕生」(権上康男)が、第二次世界大戦前の「自由主義刷新国際研究センター」から戦後の「モンペルラン協会」にいたる流れにネオリベのルーツを見出し、圧巻かつ示唆的かつ説得的かつ必読。経済史・経済政策史・経済思想史の専門家らしく具体的なディスクールを重視するがゆえに若干たどりづらい論旨を、強引というか(本当に権上さんがそう考えているか否か、ちょっと自信がないという意味で)我田引水的に要約すると
ネオリベは、例の「自由放任」つまり古典的な自由主義への復帰を求める思想ではない。
◆それは、古典的自由主義は「効用の最大化」を重視したのに対し、ネオリベは「価格メカニズムの尊重」を重視するからである。ちなみに価格メカニズムの尊重の目的は、新オーストリア学派においては個人の自由の維持である。
◆したがって、ネオリベにおいては、価格メカニズムに触れない経済政策は実施してもよい(が、しなくてもよい)。
◆かくして肯定される経済政策をめぐって、ネオリベはいくつかの学派に区別できる。

といったところだろうか。
価格メカニズムの尊重の先になにが目指されていたかという点について、新オーストリア学派以外の学派のアーギュメントがわからない、という不満は残るが、とにもかくにも「古典的な自由主義…新オーストリア学派ハイエクなど)…サッチャーレーガン&中曽根…今日のネオリベ」という通説的な理解を根本から相対化or是正しうる枠組みの登場である。