『日本近代技術の形成』

中岡哲郎『日本近代技術の形成』(朝日新聞社、2006)
おすすめ。

(1)昨年末に京都でお会いした谷川稔さんに「これは面白かった」と推薦されていたのだが、ようやく一読。技術史家が、技術のあり方という視角から、開国から両大戦間期にいたる日本の産業化の通史を描き出す一冊である。技術とは知識体系の一部をなすものであり、したがって、そのあり方には人々の知識、認識、さらには意識が反映されている。さらにまた、技術は社会経済システムとリンクされており、両者の関係は歴史を動かすダイナミズムを内包している。したがって、技術のあり方という視角から歴史を語るというのは、じつに優れた着眼点といえるだろう。

(2)ついでに、クールな距離感とホットな評価がバランスよくミックスされている語り口も、本書の魅力のひとつである。