『自由論』

ジョン・スチュワート・ミル『自由論』(山岡洋一訳、光文社・古典新訳文庫、2006)
おすすめ…というのもおこがましいが。

(1)驚天動地企画・古典新訳文庫、12月はミル『自由論』。訳文も流麗だし、価格もお手ごろ(514円+税)だし、本当にありがたいことである。

(2)長谷川宏さんの解説も有益だが、ただし、ミルは

教育とか指導とかの局面では、今でも、「本人にとって良いことだから」とか、「本人が幸福になれるから」といった理由でなにかが強制されるのはよくあることだが、ミルはそうした善意の強制にたいしても「ノー」と明言する(260頁)

と評するのは、いかがなものか。実際には、ミルは

自分自身に対して、自分の身体と心に対して、人はみな主権をもっているのである。おそらくいうまでもないことであろうが、この原則は判断能力が成熟した人だけに適用することを意図している。子どもや、法的に成人に達していない若者は対象にならない。世話を必要としない年齢に達していないのであれば、本人の行動で起こりうる危害に対しても、外部からの危害に対しても保護する必要がある。同じ理由で、社会が十分に発達していない遅れた民族も、対象から除外していいだろう(28-9頁)

という但書きをつけ、かなり周到な、というか中途半端な、というかパターナルで帝国主義的な議論をしてるのだが。