マンシュ県文書館

(1)フランス県文書館紹介シリーズ第二弾は、ドーバー海峡沿いにあるマンシュ県(バス・ノルマンディ地域圏)の文書館。同県でもっとも有名なのは「シェルブールの雨傘」で知られる軍港シェルブールだが、県庁所在地はそこではなくてサン・ロ(Saint-Lo)という小さな町である。したがって、県文書館ADMもサン・ロにある。
名称  Archives departementales de la Manche
住所 103 rue Marechal Juin BP540 50000 Saint-Lo
開館  月曜から土曜9時〜17時、昼休み(12時から14時)は資料交付業務停止
その他 閲覧可能資料上限は…失念
サン・ロは小さな町だが、国鉄駅が中心街の西の外れにあり、県文書館は中心街の東の外れにあり、しかも直通のバスの路線がない(し、1回乗継げばよいとはいえ、バスの本数も多くない)ので、県文書館に行くのはちょっと不便である。ぼくは(駅前の道をひたすら東にむかって)40分ほど歩き、町を横断して県文書館に到達した。もっとも、町外れとはいえ、近くには何軒かカフェがあるため、昼食には困らないだろう。

(2)登録手続きや資料請求の方法などは、カルヴァドス県文書館とほとんど同じ。建物は新しく、ロビーには飲食物の自動販売機がある。閲覧室は広々としており、例によって利用者が少ないこともあって、快適。周知のとおり、マンシュ県は政治思想家アレクシス・トクヴィルの故地であり、県文書館もトクヴィル関係の史料をコレクションしている。閲覧室の近現代史担当主任に「日本でも流行ってますよ、トクヴィル」といったら、えらく喜んで、いろいろと相談にのってくれた。そのうえトクヴィル生誕二百周年記念展示会のカタログまでお土産にくれた(が、立派なカタログで重くて困った)。


しかぁし……


これまた周知のとおり、マンシュ県は件の「ノルマンディ上陸作戦」の作戦地である。連合軍は、同作戦に先立ち、1944年6月6日、上陸予定地の後背地にあたるサン・ロを徹底的に爆撃し、町は灰燼と化した。当然のことながら、県文書館も被災し、ほとんどの資料が失われてしまった。それゆえ、ADMの所蔵資料は、まさに例外的なまでに少ない。ADMにゆく場合は、この点を十分に考慮しておく必要があるだろう。当然、ぼくがみたかったドキュメントも、みつけることはできなかった……が、まあ、存在しないことが確認できたことをよしとするしかあるまい。