「先生とわたし」

四方田犬彦「先生とわたし」(『新潮』3月号、2007)

(1)司法試験受験界のカリスマ伊藤真の講演会「憲法改正国民投票法案の意味するもの」(仙台弁護士会館)に参加し、文章と同じく、あるいはそれ以上に明晰なロジックがつむがれることに驚嘆する。なにしろ憲法憲法改正にかかわる問題をどう考えるべきか、こっちまで一気にわかった気になるんだから、すごい。優れた教師というのは、こういうものなんだろうか。
(2)帰宅して、ビール片手に小田川さん絶賛(?)のエッセーを読む。駒場で何をするでもなく呆然としていた日々、教養学部に「ドラキュラ」と呼ばれる英語教師がいることは聞いていたが、それがこんなに「えらい」教師だったとは寡聞にして知らなかった。
かたや明晰、かたや韜晦、しかして両者に共通する優れた教師の資質とは、おそらく(二重の意味における)「パッション」なんだろう。