『女性が語るフィリピンのムスリム社会』

石井正子『女性が語るフィリピンのムスリム社会』(明石書店、2002)

(1)ぼくも末席を汚している京大地域研・全国共同研究「地域研究における記述」オーガナイザーのひとり・石井さんの博士論文の公刊バージョン。フィリピンはミンダナオ島南部に住みこみ、ムスリム女性たちを対象におこなった聞取り調査をもとに、独立運動・宗教紛争や商品経済化(沿岸漁業)といった社会変動のなかで彼女たちがいかに生活してきたかを明らかにする。その際、「女性らしさ」すなわち「女性性規範」の変遷に視点を絞り、社会変動が与える影響と、それに対する彼女たちの主体的な対応のなかで、女性たちの生活が変貌してきたさまをえがきだす。

(2)なによりも、本書のもとになる現地調査が、フィリピン政府とモロ民族解放戦線の和平合意「以前」のミンダナオ島で、すなわち紛争中に紛争地域でなされたことに驚愕。紛争地域におけるリサーチかあ……まったくかないません、まいりました。