『「共和国」フランスと私』

樋口陽一『「共和国」フランスと私』(柘植書房新社、2007)

(1)日本を代表する憲法学者にして稀代のフランス通でもある樋口さんがおこなった日仏会館教養講座の講義録。

  • フランスにおける戦争と植民地の記憶
  • 人権のありかた
  • 共和主義
  • ヨーロッパ統合とフランス

という4つのテーマを軸に、いわば「強い個人の創出と、彼(女)たちによる社会の創出」を説く樋口さんの所説と、その背景にあるフランス社会をめぐる経験・認識が簡明に説かれる。周知の通りフランスは大統領選挙の最中にあるわけだが、そこで問題にされていることを理解したい人には有益だろう。
ついでに、この本のおともには快著レジス・ドブレ他『思想としての「共和国」』(みすず書房)を、ぜひ!! さらにおまけに『思想としての「共和国」』のオーガナイザー・水林章さんの超快作『ドン・ジュアンの埋葬』(山川出版社)も、ぜひぜひ!!
(2)1960年、フランスでは、ドゴール政権が植民地アルジェリアの独立を容認したのに対して、反対するアルジェリア駐留軍が蜂起した。この年にフランスに留学した樋口さんは、パリの角々に政権派部隊の戦車が停められ、蜂起部隊のパラシュート降下を妨げるべく砲身を上にあげている光景をみたにちがいない。