『叙述のスタイルと歴史教育』

渡辺雅子編『叙述のスタイルと歴史教育』(三元社、2003)

(1)先日の比較教育社会史研究会大会シンポジウム終了後の懇親会の席で、近刊拙著についてちょっと紹介したら、広田照幸さんから大略「それだったら渡辺雅子さんのしごととかかわりがあるんじゃない?」というコメントを頂いたので、あわてて購入。所収されている渡辺さんの論文「歴史の教授法と説明のスタイル」を一読して、なにはともあれ、

が〜〜〜〜ん。

もうちょっと早く渡辺さんのお仕事を目にしていたら、近刊拙著のアーギュメントははるかに深みをましていたことであらう(仮定法過去完了)。でも、今日が責了だから、それは無理な相談なのである。

(2)それは措いておいても、これはじつに面白い論文だった。教育社会学者である渡辺さんは、日本とアメリカの小学校における歴史教育を参与観察するなかで、大略「因果関係を重視するアメリカvs.時系列を重視する日本」という対立軸を発見し、その背景にある、両国の文化における認識や理解の構造の相違を検討してゆく。時系列と因果関係を相対立させていいのか?、という疑問は残るが、仮説として提示される結論も、結論に至るまでの論の運びも、本当にスリリングで、あ〜あ、もうちょっと早く目にしていたら……(冒頭に戻る)。