『新・批評の事情』

永江朗『新・批評の事情』(原書房、2007)

(1)「言語論的転回」論文である。さんざん躊躇したうえ、ようやく書きはじめたが、さっぱり進まない。ちょっと書いては現実逃避で頂いた論文を読み、またちょっと書いては現実逃避で2000年代の評論家カタログたるこの本を読み、という感じで、能率が上がらないことこのうえない。

(2)さて『批評の事情』は前作も読んだが、それと比して今回は永江さん自身のスタンスが前面に出ているような感じがして、そこが興味深い。ちなみに

構造改革派の主張は俗耳に入りやすいのだ。世の中がうまく行かないのは精度が悪いからだ、という考え方は大変魅力的だ。そこには、悪いのは制度であって自分ではない、という気分も含まれる。制度を変えれば、自分を変えずに、事態を改善できる(かもしれない)。どう変えるかよりも、とにかく変えることが優先される。「(構造)改革なくして(景気)回復なし」という小泉政権のスローガンは、国民の変革の影響を強いる厳しい決意表明に見えるけれども、実際は「制度さえ変えれば、あなた自身は変わらなくてもいいんだよ」というお気楽なメッセージだったのかもしれない(130-1頁)

という永江さんの指摘には、目からウロコ。