『リベルテに生きる』

ベルトラン・ドラノエ『リベルテに生きる』(八木雅子訳、ポット出版、2007、原著2004)

(1)フランス大統領選挙は個人的には残念な結果であり、国民議会選挙は「まぁこんなもんか」という感じだった。それにしても、サルコジvs.ロワイヤルというのは、これまた個人的には興味が削がれることこの上ない取合せである。また社会党内ではロワイヤルが第一書記(党首)の座を狙っているらしいが、テレビや新聞で見るかぎり、資質がちょっとなぁ。でもストロス・カーンもファビウスも、いまさらちょっとなぁ……というわけで、社会党の次期リーダーとしてパリ市長ドラノエとリヨン市長コロンの二人が浮上してきて、個人的には大変うれしい。なにしろ今回の国民議会選挙では、たしか両市ともに社会党の退潮を食いとめ、来年の地方選挙で引き続き勝利する可能性が出てきたのである。そんなところにタイミングよくドラノエが書いた本が翻訳され、日本語で読めるようになった。おお、グッジョブ!!

(2)ドラノエは、2001年地方選挙で、戦後一貫して保守の牙城だったパリ市政を奪還したことではじめて広く世に知られるようになった政治家だが、公共交通機関を整備したり、「パリ・プラージュ」など多様な企画をすすめたりしていて、気になっていた。この本を読むと、これら政策が、深く広い信念と政策思想に裏打ちされていることがわかって、興味深い。日本の政治家の本と比較……してみると、比較可能か否かは別として、それなりに面白いだろう。

(3)訳文は秀逸だし、訳注も詳しくて有益。ただし、原著のタイトルがどこにも表記されていないような気がするのだが……。