『平等主義が福祉をすくう』

竹内章郎他『平等主義が福祉をすくう』(青木書店、2005)

(1)自宅のPCのハードディスクが壊れてしまい、修理に出すことになった。ファイヤウォールの更新パッチがウィンドウズとぶつかり、後者が起動しなくなり、無理に起動しようとしてハードディスクに負荷がかかり……といった顛末らしい。ソフトウェアの自動更新は、深夜に勝手に実行してくれるので、楽といえば楽なのだが、朝おきたらハードディスクが変なうなり声をあげていた、というのは、心臓によくない。

(2)第2章「最低生活保障と労働市場」が面白い。筆者の後藤道夫さんは

60年代をつうじて、社会保障制度なかんずく公的扶助によって救済・支援されるべき対象範囲の理解が、後進的社会構造に由来する大量の低所得層から、能力の欠如・欠陥に由来する弱者層へと移行したのである。また、当初から、社会保険における最低生活保障理念は欠如あるいは脆弱であり、最低賃金制の強化は放棄されていたため、社会保障制度が勤労世界の最低限生活を保障すべきだという、福祉国家型の社会保障理念の中心内容のひとつが、この移行・転換によって、日本の社会保障からほぼ失われたとみるべきであろう(100頁)

と喝破する。つまり

  • 日本の後進国的性格を強調した戦後社会科学は、勤労世帯の最低生活保障経済を問題視できなかった
  • 勤労世帯の最低生活保障は、日本型雇用制度が実現できると考えられた
  • 最低賃金の引上げは政策アジェンダにのらなかった

というわけである。いろいろと考えさせられる指摘だった。