シンポジウムのご案内

今度の土曜日に以下のシンポジウムが開催されます。おお、豪華なパネリスト陣であることよ……ぼく以外は。


日仏会館外国語教育シンポジウム「英語だけでいいのか?―フランス語教育と人文・社会科学」
2007年7月7日(土)13時30分〜17時30分
日仏会館1階ホール(東京都渋谷区恵比寿3‐9‐25、TEL 03-5424-1141、JR恵比寿駅下車徒歩6分)
入場無料


【プログラム】
13時30分〜15時30分 基調報告(あいうえお順、一人20分)
16時00分〜17時30分 全体討論(講師全員+会場)
講師 宇野重規東京大学社会科学研究所、政治思想史・政治哲学)
   小田中直樹東北大学大学院経済学研究科、フランス経済史)
   北村一郎(東京大学大学院法学政治学研究科、フランス法
   佐藤直樹東京大学大学院総合文化研究科、生物学)
   鈴木啓二東京大学大学院総合文化研究科、フランス近代文学
司会 三浦信孝(中央大学文学部、日仏会館常務理事、現代フランス研究)


【シンポジウム趣旨】
大学でフランス語を学ぶ学生の数が減っているといわれます。英語以外の第二外国語が必修から外される傾向にあり、中国語や朝鮮・韓国語の追い上げがあるからです。仏語教師のポストは定年退職者が出ても後を埋めないケースが増え、今の若手はフランスの大学で博士号を取ってきても就職がむずかしい状況です。都立大学首都大学に再編するにあたり、石原都知事が「フランス語は数を勘定できない言葉だから国際語として失格」などと難癖をつけ、仏文科を含む人文学部を解体したのは、フランス語無用論の突出したケースです。
首相の私的諮問機関「21世紀の日本の構想」懇談会が英語の第二公用語化を提案したのは2000年のことですが、以後英語熱は高まるばかりで、2006年の文科省調査では全国の公立小学校の93.6%で英語教育が導入されています。幸い英語以外の外国語を学べる高校は徐々に増えており、フランス語を学べる高校は2004年現在248校で、中国語の553校、朝鮮・韓国語の286校に次ぎますが、全国に高校は5418校ありますから、その4.6%にすぎません。母語以外に二カ国語の習得を推奨するEU諸国はおろかお隣の韓国と比べても、日本は外国語教育の多様化で大きく遅れをとっています。
大学でのフランス語教育振興は、日本仏語仏文学会や仏語教育学会でよく討議されるテーマですが、これといった名案はありません。日仏会館は26の日仏関連学会との協力関係にあります。そこで今回はフランス語教師だけでなく、文学語学以外でフランス語を使って研究教育にあたっている方々をお迎えし、フランス語教育を広い視野から考えてみようと思います。歴史家のブローデル社会学者のブルデューの翻訳は文学研究者によって行われています。大学でフランス語を学ぶ学生の大半は文学・語学以外に進みますから、仏語教師には専門を超えた広い教養が必要です。教養部が解体されたあと仏語教師にはフランス語以外の講義も担当できる能力が求められています。逆に大学の人文・社会科学分野ではフランス語系は数の上でマイナーであり、フランス語で受信するだけでなく発信もできる研究者は限られています。自然科学では論文は英語で書かないと読んでもらえません。
しかしフランス語は、英語に大きく水をあけられたとは言え、主要国際機関の公用語であり、知識層を中心に五大陸に話者がいる国際語です。グローバル化に対処するには英語だけでいいのか。経済効率だけでなく批判的な物の見方をするにはフランス語による人文主義的教養が必要ではないのか。フランス語を(で)学ぶことの比較優位性は何か。文学・語学と人文・社会科学のコラボレーションはいかにして可能か。これがシンポジウムの問題提起です。