『戦後教育のなかの「国民」』

小国喜弘『戦後教育のなかの「国民」』(吉川弘文館、2007)
いただきもの。

(1)各界の一線級の研究者の話を耳学問できる学振人社プロも、のこすところあと半年、セミナー2回。昨日のセミナーも、東京は暑く、議論は熱かったが、かくのごとく個人的には大変勉強になったので終わるのは残念である。

(2)そんな人社プロのおかげで知りあえた気鋭の教育学者・小国さんの新著は、件の「国民的歴史学」運動にインスパイアされた諸教育実践を分析し、それがナショナリズムの刻印を色濃く帯びていたことと、ただし、そのうちのいくつかにはナショナリズムをこえる契機がはらまれていたことを明らかにする。昨日の最終の新幹線の車内で、飲みすぎて機能停止状態の頭で一気に読んでしまった。

ポスト・コロニアリズムの影響をつよく感じさせる小国さんの所説は説得的だが、ただし、

  • これら教育実践家たちがナショナルなものを重視した理由はなにか
  • 彼らが言う「国民」の内実はいかなるものだったか

が十分明らかにされない恨みがある。とくに前者については、ポスト・コロニアル系の所説に共通する問題ではないか……と、根拠なくひそかに考えているのだが、さて。