『王権儀礼と国家』

富沢寿勇『王権儀礼と国家』(東京大学出版会、2003)

(1)ひょんなきっかけで《アジア経済研究》関係を中心とする本をダンボール3箱分もらってしまった。イスラム教関係は千葉くんにあげることにし、中国経済関係は日置さんに謹呈し、啓蒙書は労働組合のバザーに供出し……ても、30冊もの学術書が残ってしまった。こりゃ帰宅後に読書三昧の日々が待っているわけで、ありがたや、ありがたや、である。

(2)そんなわけで、読書第一弾は、マレーシア連邦を構成する一王国の政治文化を、王権儀礼をおもな対象に

  • 民族と王権とイスラム
  • 平等主義と不(平)等主義

といった視角から分析する文化人類学の書。
当初キーワードのひとつとして設定されていた「慣習」が国民国家形成に与えたインパクトのありかたが(ぼくのような素人読者には)いまいち不明瞭ではあるが、国民国家が成立する以前の、まさに星雲状とでもよぶべき国家が、さまざまなファクターの影響を受けながら国民国家に凝集してゆくメカニズムが、歴史的アプローチと参与観察的アプローチが併用されるなかで解きあかされて、とてもスリリングである(でも7800円+税という値段がなあ……)。