アンドル・エ・ロワール県文書館

(1)サントル(Centre)地域圏の中心都市といえばトゥール(Tours)、日本でも「ロワールお城めぐり」の拠点として有名な、ロワール河沿いの都市である。ちなみにフランスでもっとも美しいフランス語(語尾がピッとはねあがるのが特徴……だと思う)が使用されている土地としても有名らしく、そのせいもあってか語学学校がたくさん居を構えている。ぼくも、若かりしころ、一ヶ月ほど同地の語学学校に通ったことがある……が、日本語論文の締切に追われていたため、授業をサボって市立図書館で『官報』をめくる日々をすごした。いま思うと、実にもったいなく、実に不毛なことである。

ちなみにトゥール旧市街の真ん中にあるプリュムロ(Plumereau)広場では、気候の良い時期には、夜な夜な若者が集まり、大道芸人が登場するなど、素敵な時間が繰広げられていた。いまはどうだろうか?

(2)そんなサンパな街トゥールを県庁所在地とするのがアンドル・エ・ロワル(Indre-et-Loire)県であり、したがって同県文書館ADILは当然ながらトゥールにある……が、正確に言うとADILは2つのセンターにわかれており、「歴史文書センター」はトゥール市内に、「現代文書センター」はトゥール近郊シャンブレ・レ・トゥールに置かれている。

名称 Archives Departementales d'Indre-et-Loire
(a)歴史文書センター(Centre des Archives Historiques)
住所 6 rue des Ursulines 37000 Tours
開館 月曜日から金曜日は9時〜17時、第1および第3土曜日(7月と8月を除く)は9時〜11時45分

(b)現代文書センター(Centre des Archives Contemporaines)
住所 41 rue Michaël-Faraday 37170 Chambray-lès-Tours
開館 月曜日から金曜日は9時〜17時、第2および第4土曜日(7月と8月を除く)は9時〜11時45分

かなり充実しているオンライン・インベントリーをみればわかるとおり、おもに1940年以降の行政文書からなる資料系列(serie)Wが後者に所蔵されている。ぼくがみたい資料は別の系列だったので、今回は前者だけを訪問した。したがって紹介できるのも前者だけである。

(3)国鉄トゥール駅前にある国際会議場と観光案内所のあいだの道を入り、数分歩くと右に美術館がみえるので、そこを右折するとユルシュリヌ(Ursulines)通りに入る。この通りを数分歩くと左手に瀟洒な建物があるが、これが目指す歴史文書センターである。

ドアを開けるとすぐ右に受付があり、そこで登録をする。ついで目の前にあるロッカーに荷物を預け、左手のドアを開けると、もうそこが閲覧室。閲覧室は小さいが、ガラス張りで明るい。閲覧室の奥にインベントリー室と、資料請求用の端末が置かれている。ここでもGaiaが導入されているため、資料請求はお約束のパターンである……が、なによりも驚いたことに、閲覧者が異常に少ない!! ぼくが訪問したときは、ぼくを入れてたった3人しかいなかった。人口10万人以上の都市だというのに、こ、こ、こはいかに?

じつは、県文書館利用者の大多数を占める先祖探しの皆さま(ジェネアロジスト)のお目当ての小教区簿冊(戸籍台帳みたいなもんか)はマイクロフィルム化されて現代文書センターにあるらしく、皆さまはそちらに日参されているのだとか。道理でこちらのセンターはガラ〜ンとしていたわけである。

なお、そのおかげで係員は手持ちぶたさであり、それもあってか、サンパなうえに、資料を請求するとすぐに探しにいってくれるので、大変ありがたい。ただし、なんと、資料系列Mという、19世紀史に関する主要資料の整理がいまだに終了していないらしく、箱の請求番号は仮のものだし、整理分類の仕方もかなりウームである。

そんなわけで、いろいろと驚かされる文書館ではあった。ただし、今回トゥール滞在はほんの4時間、9時にブロワ(Blois)から到着し、速攻でADILでしごとをし、13時にはシャルトル(Chartres)にむかうべくル・マン(Le Mans)行きの列車にとびのった晩夏の一日であった。